197.ふかし煙草と缶ビール

『土手と夫婦と幽霊』で重要なキーパーソンである「高橋」は、気づいた方もいるかもしれませんが、ふかし煙草です。

これは何も演じてくれた「高橋」役の佐藤勇真さんが煙草が吸えないわけではありませんでした。原作小説そのままの設定で、あえてそうしています。

私は、自身の演出部・制作部時代を思い出せば、かなりのヘビースモーカーでしたが、ふかし煙草は嫌いでした。その煙の種類はまるで違います。厳密なことはわかりませんが、色や重さが違う。目的が無くまとわりつくその煙は、私の中で「高橋」でした。

対して、主演の星能豊さん扮する主人公の「私」は缶ビールを飲むが、水のようです。けれど、幻覚のように頭上を幾つもの影が過ぎていく。「私」は酔っているのだろうか。街の一角でそんなシーンを撮りました。

最後に、少し調べてみたところ、タバコには肺喫煙と口腔喫煙（ふかし煙草）の2種類の喫煙方法があり、リスクが少ないのは後者ということです。けれど、喫煙が体に害を及ぼすということでは、どちらも変わりませんのであしからず。