土手と夫婦と幽霊 -The River bank,The Couple,The Ghosts-
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303.大学は出たけれど・後

2/2/2022

 
この岐路に、新聞奨学生を選ぶ皆さん、頑張ってください。正直私は本当に辛かったから、やった方がいいとは言いません。けれど、やることで進めるならやってみてください。頑張ってください。私からはそれしか言えません。
あの頃私は新聞奨学生として、所沢でS新聞を配っていました。前任者が配達中に事故死していて、私は彼が担当していた第5区を引き継ぎました。

​彼が事故に見舞われた場所を通ると、なんだか不思議と緊張感が蘇り、改めて慎重になって仕事に励むことができたような気がします。それでも時折眠気に負けてフェンスに突っ込んだり、前方不注意の車にはねられたり、集金で初老の女性に誘われたり、雪の日に午後まで朝刊を配ったりしましたが、なんとかこの時代を生き抜きました。

私の配るS新聞は、どこの区域も一軒一軒が離れていて、時には真っ暗の林道を通ったり、車の多い産業道路を渡ったり、走行距離はかなりものでした。しかも配達に加えて、集金があれば、学生にはなかなかハードな毎日で、特に冬はもう寒くて寒くて最悪でした。
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ある日、両親が電池式の暖の取れる手袋をプレゼントしてくれたことは今でも覚えています。ごつ過ぎて配達業務には向かなかったけど、寒すぎてまったく温まらなかったけど、その気持ちがとても温かった。

間違いなくあの時の劣等感や貧乏や挫折や小さな希望や、風呂無しの一人暮らしや職場の人間関係や、一人毎日カブを走らせて考えたことが、私という人間の最終形成をしているような気がします。
 
『土手と夫婦と幽霊』の中で、「新聞」は重要なアイテムとして登場します。私自身の物語は特に関係はありませんが、そこには個人的な思いが詰まっているわけです。

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