土手と夫婦と幽霊 -The River bank,The Couple,The Ghosts-
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519.どてふう豊後旅日記vol.6

3/13/2023

 
その日の臼杵は晴れ渡り、風景は長閑でとても美しいものでした。どこにいても何も思い出せず、初めて来た土地であるかのようでした。記憶というものは映画のように都合よく思い出せるわけではありません。少なくとも私にとっては。
私の記憶はすでに何層にも上書きされているのでしょう。思うことと言えば、この景色を私の大好きな子どもたちにも見せてあげたいということでした。娘はきっと石仏を見て変な顔と言うだろうし、息子はきっと私に気を遣って写真をたくさん撮らせてくれるでしょう。けれど、私がいくら父との思い出を忘れようとも、確かに父と訪れた景色が今でも変わらずここにあるとすれば万事快調といたしましょう。
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きっと父は当時私にこの風景を見せることができて嬉しかったろうし、誇らしくもあったかもしれません。私はこれから子どもたちにどんな景色を見せてあげることができるでしょうか。今までどんな景色を見せてあげられたのでしょうか。

私にとって父と二人で旅をしたのはたったの一度きりで、その記憶は私の頭の片隅から殆ど消失してしまい今では父が撮った写真が残るのみですが、それでももし私の人生がフラッシュバックされるとするならば、あの二人旅はきっとハイライトの一つに数えられるようなイベントだったように思います。正直酒飲みの父は私にとって良い印象が少ない人でしたが、私の中に何を残したかという点で大きい人だったように思うのです。
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人生というのは面白い。成したことがそのまま残せるものになるわけではありません。私の場合、形あるものはたいして残せそうにありませんが、せめて子どもたちの心に残せるものをこれからの時間費やしていかなければならないと思うのです。

そういう意味では、「映画」は人生を豊かにするための一つの手段に過ぎず、「映画」に係る時間は圧倒的に少ない。「映画」は人生ですが、私の人生は「映画」の他にもちゃんと存在しているような気がしました。石仏に色々と教えてもらったような気がしました。まだつづく。
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